純粋に興味のあるテーマで申し訳ないのですが、今日は世の中を騒がせているフジメディアホールディングスの今後について勝手に予想します。
簡単にまとめると、先日フジテレビは不祥事を起こし、第三者委員会の調査のもと、経営陣を入れ替えました。その途中において、堀江貴文さん、旧村上ファンド、ファンドマネージャー藤野英人さん、そしてソフトバンクインベストメントの北尾吉孝社長まで登場し、フジテレビを舞台にした壮大なドラマが繰り広げられています。
今後はどのように展開するのか、票読みをするために会社四季報と今わかっている情報を含めて計算してみました。
以下、フジ・メディア・ホールディングスの株主構成を見やすく整理した表形式でまとめてみました。
株式基本情報
最初に株式の基本情報です。自社株と関西テレビ放送(子会社)は議決権がないため省く必要があるでしょう。そのため実質の株式割合は88%程度です。この中で拒否権までの3分の1及び過半数までどの程度必要か計算してみました。憶測が含まれているため、話し半分に見てもらうか、たたき台にしてもらえると幸いです。
■株式基本情報
項目 | 内容 |
全株式数(万株) | 23,419 |
議決権無株主割合(%) | 11.61 |
実際保有割合合計(%) | 88.39 |
主な株主(会社四季報基準)
こちらは会社四季報から抜粋した株式数と保有割合です。ただ株主名簿は今年の3月31日で締められるため、こちらは去年の取得割合一覧となります。参考にすべきは東宝、文化放送、NTTドコモの割合ですね。
■主な株主(上位株主一覧)
株主名 | 株式数(万株) | 保有割合(%) | 備考 |
日本マスター信託口 | 2,602 | 11.11 | 外国人株主? |
自社(自己株口) | 2,104 | 8.98 | 議決権なし |
東宝 | 1,857 | 7.93 | |
日本カストディ信託口 | 833 | 3.56 | 外国人株主? |
文化放送 | 779 | 3.33 | |
NTTドコモ | 770 | 3.29 | |
ステート・ストリート・バンク&トラスト505001 | 615 | 2.63 | 外国人株主 |
関西テレビ放送 | 614 | 2.62 | 議決権なし |
ノーザン・トラスト(AVFC)シルチェスターVET | 544 | 2.32 | 外国人株主 |
日本マスター信託口(電通G) | 465 | 1.99 |
■既存株主構成まとめ(会社四季報データ)
項目 | 保有割合(%) |
上記合計(会社四季報基準) | 47.75 |
ファンド関連
新興勢力となる旧村上ファンドとレオスの合計値です。4月8日(火)現在、特に旧村上ファンドは4日にわたって1%ずつ購入しています。ここにニュースに出ていたダルトン(7.19%)の株式数を加えると21%近くになります。ダルトンはおそらく信託口に隠れているのではないでしょうか。
■ファンド関連
株主名 | 株式数(万株) | 保有割合(%) | 実際保有割合(%) |
旧村上ファンド | 2,047 | 8.74 | 9.89 |
レオス | 1,199 | 5.12 | 5.79 |
合算及び推計値です。実質保有割合は自己株と関テレの分を差し引いて割合を計算し直しています。
■合算・推計値
項目 | 保有割合(%) | 実際保有割合(%) |
ダルトン(7.19%)+レオス+旧村上ファンド | 21.05 | 23.81 |
東宝+文化放送+NTTドコモ+電通 | 16.53 | 18.7 |
他の外国人株主(20%以内想定) | 13.00 | 14.71 |
既に34%(実質では38%)まで資本効率を求める側で占められている?
ダルトン+レオス+旧村上ファンド(株式会社レノ)+他の外国人株主で、4月8日の時点で資本効率を求めるサイドに3分の1の株があるということになります。さらに残った浮動株比率は40%近くとなるため、仮に現経営陣派と新経営陣派で1:1に割れたとしても新経営陣派は控えめに見ても55%近くになるのではないでしょうか。
まとめ:現状ではダルトンの考える株主提案が通りそう
株主構成に変化があったり、売り抜けなどが生じていないなど複数の前提が必要となりますが、レノがここで株式の購入をストップしたとしても、株主提案は確実に通りそうです。
補足1:なぜレノは信用口座で株式を購入したのだろうか。
株式会社レノは信用口座にて1,807,700株を保有しています。お金があるなら現金で買えばよいものですが、こちらは吹いたときに冷やし玉として使うためのものでしょうか。
補足2:信用取引の売り玉どうなるのか問題
信用買残と信用売残が1000万株近くに到達しており、発行済み株式総数の5%に達しています。このうちの200万株がレノの信用買いと仮定すると、売り長が200万株近くになってしまいます。

ここで浮動株が50%と仮定すると、浮動株総数の10%近い株が信用取引の売り玉となっており、この関税相場での日経平均が下げているにも関わらず、苦しい状態となっています。半導体銘柄を売っておけばよかったとは思いますが、なぜPBRが低くて換金できる資産が多いフジテレビを売ってしまったのでしょうか。
これも仮定ですが何か作戦を練っている主体がいると考えてみましょう。当初は信用取引の買いを行い、拮抗していると見せかけて売り方を安心させます。株主総会近くになって、現引を行えば一気に株不足に。高額の逆日歩で売り方は買戻しをせざるをえなくなるでしょう。売買が盛んだったのは2月ごろだったので、制度信用の期限である8~9月にかけて大きな買戻しが発生する可能性が考えられます。
補足3:レノは今後どうするねん問題
現在、レノ側は連日購入していますが、既に8%近くになっていることを考えると、自分の手で売り崩して値段を下げることは考えにくい気がしています。どちらかといえば大口配当とかMBOとか株を持っていることによるメリットを享受する方法を選択するのではないでしょうか。そのため会社側に要求するのであれば今後も買い進めるでしょう。逆に最後に他の投資家に売却する予定であればこれ以上買う理由が無くなっているような気がしています。
補足4:重要な財産の処分や解散は特別決議
利益の多くを占める重要な財産の処分や解散については議決権の3分の2以上が必要となります。そう考えると個人投資家浮動株(40%)のうちの8割の賛成(すなわち議決権として32%)が必要となります。これはなかなか厳しい気がするので、レノが後10%ほど買い進めるのではないでしょうか。ただもう流通株が少ないのでこちらも厳しい気がします。
ドコモが市場で売却をしてくれたり、投票を棄権してくれたら良い方向にころがりそうですが、こればかりは分からない…。まずは4月9日以降、レノが買い進めるかどうかです。株価が急落したらラッキーとばかりに買い進める気がしています。外資規制に引っ掛かりそうなレノ名義(シンガポール?)ではなく社長の個人名義で購入しているため、議決権行使を目的としているのではないでしょうか。
最後に
4月の取引数は2月の頃の3分の1程度になっていますが、これはもう株式が大口に吸い上げられてしまい、取引できる株が残っていない状態ではないでしょうか。現時点では無理に株価を上げなくとも、次の展開に向けて株を集める方が賢い気がしています。売り抜くのであれば株価を上げる動きになるのでしょうか、まずは不動産部門とメディア部門を分けて、不動産部門は外部に、メディア部門にはホリエモンに経営させるという流れになるような気がしています。
私がファンドならチャートを崩さないようにしつつも株価は上げないようにして株を集めるかな?不動産や政策保有株売却時には大きな配当が出るかもしれませんしね。

今回の問題はコーポレートガバナンスの問題であり、解決ができればどのステークホルダーにとってもプラスになる内容じゃないかと感じます。ダメな会社として空売りするよりも、正しい手続きを通じて良い会社にもっていけたらよいのではないでしょうか。私も株主としてフジテレビを良くするために応援するつもりです。
最近不思議に思っていたことなのでブログを通じて少し整理できてすっきりしました。株主総会までまだまだ面白い話が出てくるでしょう。リアル経済ドラマとしては一級品。目が離せませんね!
追記:上場会社における株主の権利について
■ 株主の基本的な権利(1株から行使可能)
- 議決権(1単元株以上で行使)
→ 株主総会での議案(取締役選任、配当など)への賛否を表明 - 配当請求権
→ 利益配当を受け取る権利 - 残余財産分配請求権
→ 会社解散時の財産分配を受け取る権利 - 株主総会への出席・質問権(1単元株以上)
■ 一定割合以上の保有で行使可能な権利
保有割合 | 権利内容 |
---|---|
1%以上 | 株主提案権(株主総会議案の提案) |
3%以上 | 会計帳簿の閲覧請求権 |
10%以上 | 臨時株主総会の招集請求権、取締役解任の請求権 |
33.4%以上 | 特別決議を阻止可能(拒否権) |
50%以上 | 普通決議を単独で可決可能(実質的な経営権掌握) |
66.7%以上 | 特別決議を単独で可決可能(合併・定款変更など重要事項) |
67%とれたらMBOとか様々なことができますが、会社側からするとそれは阻止したいので、もしかしてどこかに依頼して買っていたりして…。ライブドア事件の頃と比較すると、政治家とのパイプなどそこまでの力はないだろうけど、67%を超えられると万が一が発生してしまうので、会社側なら阻止したいかな。
また、レノは決算後に購入しているので、今回の総会に対する議決権はないのですが、持ち分割合が10%を超えている以上臨時株主総会を開くことは可能です。ここまで株を買い進めてしまうと、最後は会社側かメディア事業をしたい会社(SBI?)に引き取ってもらうしかない気がしています。